環境のクリア

2021年7月23日

議論の前提として、今までPythonやバイオ処理の一部をごくわずかに試した程度のMacPC上で、一通りのRNA seqができることを目指す。Pythonをまったく使っていないPCであれば、おそらく下記に説明するアンインストールの手続きは必要がない。また既に本格的にPythonを使用しているのであれば、それに合わせてみずから環境を設定することができるだろう。下記の説明は、そのどちらでもなく、何かのきっかけでPythonを少し試したが本格的には使っておらず、環境設定についても慣れない・よく分からないユーザを想定している。

そのような目的を持つユーザにとって、環境整備のさまざまな状況に対応できる手法・コマンド・概念を理解する負担は、必ずしも望ましくないものだろう。それをなるべく避けつつ、必要なソフトを取り込むことができるような設定・環境を構築する。

本節ではその第1ステップとして、Pythonのインストールを整理するため、いったんPython環境をアンインストールしてきれいにする。それによって、コントロールされた実行環境を整備したい。

参考:pythonをアンインストールする5つの方法 | 資格マフィア
https://shikaku-mafia.com/python-uninstall/

Home Brew の確認

PythonがHome Brew(以下 brew)によってインストールされているか否かを確認する。
もしPythonがbrewによって(brew installコマンドで)インストールされているのであれば、brewの中でアンインストールする。なぜなら、brewの中でインストールしたパッケージの履歴が保存されていて、それを消したい(インストールされていない状態にしたい)から。

ステップ1 Home Brew自体がインストールされているかどうかの確認

コマンドラインに対して、

$ which brew

これに対してたとえば /usr/local/bin/brew などと返してくれば、コマンドbrewは存在する、つまりbrewはインストールされている。Not Foundと返してくればbrewは存在しない。(厳密には、brewコマンドが通常使える場所~パスの中~には存在しない。)

ステップ2 Home Brewがインストールされている場合に、Home Brewを介してPythonがインストールされているかどうかの確認と、削除

コマンドラインに対して、

$ brew list

として、brewを介してインストールされているパッケージの一覧をリストする。この中でpythonに関わるのは、python version 3 の本体であるpython3、およびpythonの仮想実行環境である pyenv や pyenv-virtualenv(もしpython3に加えてこれらをインストールしていれば)であるので、これらが含まれていればbrewを介してアンインストールする。

$ brew uninstall python3
$ brew uninstall pyenv   #(もしリストにあれば)
$ brew uninstall pyenv-virtualenv   #(もしリストにあれば)

次に、同様にして、anacondaを介してpythonがインストールされているかを確認する。もしanacondaがインストールされていれば、これ以上の環境設定は不要になる。

ステップ3 anacondaを既にインストールしていないかの確認

コマンドラインに対して、

$ which conda

として、condaコマンドが(実行環境に)存在するかを見る。存在すれば、anaconda もしくは miniconda がインストールされているので、以下の環境設定は不要になる。

次に、Home Brewやanacondaを介さず、pythonのインストールイメージを直接ダウンロード・インストールしているか、または、pyenv、venvなどを使ってインストールしているかを、確認する。

ステップ4 直接(Home Brew経由でなくPythonのインストールパッケージやpyenv, venvなどを使って)インストールしていないかの確認

コマンドラインで

$ which python

として、pythonコマンドが(実行環境に)存在するかを見る。
このとき、たとえば /usr/bin/python や /usr/local/bin/python のようにホームディレクトリ外にpythonが見つかれば、おそらくはPythonのインストールパッケージを直接インストールしたものだろう。この場合、pyenvやvenvのような仮想環境を利用していない。他方、もし <ホームディレクトリ>/.pyenv/…./python のようにユーザのホームディレクトリ下の .pyenv ディレクトリ内にpythonがあるようならば、仮想環境を利用している。もしNot Foundが返されるなら、pythonoはインストールされていない。
同様に、 $ which pyenv としてみて、存在するようなら仮想環境 pyenv がインストールされて(使われて)いる。

ステップ5-1 pythonがpyenv、venvを介してインストールされている場合、ファイル削除コマンド等を用いてPython関連ファイルの削除

which python の応答が、<ホームディレクトリ>/.pyenv/…./python のように出てきた時は次のように対応する。 .pyenv ディレクトリの下のファイルをすべて消去する。また、/usr/local/bin や <ホームディレクトリ> の下で pyenv をファイル名に含むファイルを消去する。消去のコマンドは /usr/local/bin の場合、

find /usr/local/bin | grep pyenv | xargs rm

のようにすればよい。

ファイルを除去したうえで、ユーザの実行環境設定ファイル <ホームディレクトリ>/.bash_profile からpyenvに関連した設定を削除する。具体的には、シェル変数 PYENV_ROOT= の設定と、変数PATHの設定の中にある $PYENV_ROOT/bin へのパスを削除する。

ステップ5-2 pythonが直接(またはpyenv、venvを介して)インストールされている場合、ファイル削除コマンド等を用いてPython関連ファイルの削除

MacOSの場合、次のファイルを削除することでアンインストールする。

  • Applications フォルダ内のPythonフォルダを削除する(フォルダ内のファイルとフォルダ自体を削除)
  • /Library/Frameworks/Python.frameworkフォルダを削除する(同上)
  • /usr/local/bin 内のシンボリックリンクの削除
  • ユーザの実行環境設定ファイル <ホームディレクトリ>/.bash_profile の中のシェル変数 PATH に定義されているPythonへのパスを削除

これらによって、コマンド which python でNot Foundとなればよい。

ここまでで、既にインストールされているpythonの削除を終わる。次ページから、biocondaを用いた処理環境の設定を始める。


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