ITmedia News: 「写り込み」はどこまでOK? 文化庁、改正著作権法の新規定を解説 ~ 我々の日常の実態に合わせたという感じ?
ITmedia: [ITmedia News] 「写り込み」はどこまでOK? 文化庁、改正著作権法の新規定を解説.
ちゃんとフォローしていなかった。 文化庁の元のページ(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/utsurikomi.html)に曰く
本条第1項で,「分離することが困難である」とあるのは,ある著作物(写真等著作物)を創作する際に,創作時の状況に照らして,付随して対象となった他の著作物(付随対象著作物)を除いて創作することが,社会通念上困難であると客観的に認められることをいいます。
また,「当該写真等著作物における軽微な構成部分となるものに限る」とありますが,「軽微な構成部分」であるか否かは,著作物の種類等に照らし,個別の事案に応じて判断されるものであり,予め定量的な割合が決まっているものではありません。
さらに,同項ただし書では,「著作権者の利益を不当に害することとなる場合はこの限りでない」とされており,著作権者の著作物の利用市場と衝突するか,あるいは将来における著作物の潜在的販路を阻害するかという観点等から,最終的には司法の場で個別具体的に判断されることとなります。
「分離困難」は、写真だと「周りの写り込んでいる部分を白抜きに消してしまえ」とは言えないからね、ということなのかな?
「検討の過程における利用」もおもしろい
著作物の利用行為として,例えば,企業がキャラクター商品の開発や販売の企画を行うに当たり,そのキャラクターの著作権者の許諾を得る前に,企画書等にキャラクターを掲載する行為が行われています。こうした著作権者の許諾を得ることを前提とした行為は,通常著作権者の利益を不当に害するものではありませんが,著作権侵害に問われるおそれがありました。
このため,著作権者の許諾を得て,又は裁定を受けて著作物を利用しようとする者は,これらの利用についての検討の過程における利用に供することを目的とする場合には,その必要と認められる限度において,当該著作物を利用することが侵害行為に当たらないことを明確にしました。
この点で更に面白いのは、開発・企画が最終的に著作権料を払うのではなくてボツになったとしても、それは構わないとしていることや、検討のプロセスが済んだあと実行にかかる準備のプロセスでの利用(資料に使うなど)も構わないとしている点。 確かに実務上必要で、今まではよく分からなかったところかもしれない。
「技術の開発又は実用化のための試験の用に供するための利用」は、我々にも広くかかわりそうだ。例として挙がっているのは
○ テレビ番組の録画に関する技術を開発する場合に,技術を検証するため,実際にテレビ番組を録画してみる場合
○ 3D(三次元)映像の上映に関する技術を開発する場合に,技術を検証するため,3D映像が収録されたBlu-ray Discを上映してみる場合
○ OCR(光学式文字読取装置)ソフトウェアを開発するに当たり,ソフトウェアの精度の向上を図ったり,性能を検証するため,小説や新聞をスキャン(複製)してみる場合
○ スピーカーを開発する場合に,性能を検証するため,流行している様々なジャンルの楽曲を再生してみる場合
学会等で映像系などの技術を実演して見せる時に、素材に関する著作権でいつも悩むのだが、お目こぼし願えそうな気がする。唯一気になるのが、見せる相手が必ずしも限定されないことなのだが、意図が全く営利ではないし…
これらの部分は全体に見て、実態を反映した改正(というか追記というか)ですね。