WIRED.jp: クリス・アンダーソンのメイカー企業「3D Robotics」訪問記 ~ MAKERSの著者のアンダーソンに対するインタビュー
WIRED.jp: クリス・アンダーソンのメイカー企業「3D Robotics」訪問記.
曰く
『WIRED』という時代をリードする先鋭的メディアの編集長というポジションに未練はないのだろうか? そう尋ねると、シンプルな問いが返ってきた。「メディア産業とロボット産業、どちらのマーケットに未来があると思う?」
ということだ。また、
「イノヴェイションのプロセスを速めるためだ。もっと新しい商品を投入していかなければいけないし、主要な競争相手である中国の企業と張り合わなければいけない。より安く、速く、デザインがよく、優れたイノヴェイションを提供しなければいけない。そうすれば、この北米にある会社でも、中国で最も優れた企業に勝てる。それはタフだけれど、とてもエキサイティングなことだ」。実際に、中国企業と張り合うために、3D Roboticsには2つのアドヴァンテージがあるという。1つはメキシコの優秀な労働力。そしてもう1つはウェブによるコミュニティとそこから生まれるイノヴェイションだ。
中国に勝つ、というのも耳新しいし、そのためにメキシコの労働力を目当てにするというのも面白い。東京にいるとどうもベトナムのミャンマーのと思うし、たぶんヨーロッパにいるとアフリカの国を考えるのだろうが、すでに結構割高なメキシコの労働力でどうにかなる、どうにかする、というのが興味深い。
最後のほうに曰く
『MAKERS』に書かれたエッセンスは、製造業に限らず、例えば農業といった別の分野にも応用できるのか、と問われてアンダーソンはこう答えている。「本書のエッセンスをひとことで言うなら“Power of non-professional”だ。アマチュアのパワーこそが、『ロングテール』『フリー』『MAKERS』という3冊に通底するエッセンスなんだ」。アマチュアはその対象を愛しているからこそそれをやる。プロはお金のためにやる。「好きだから、というのはお金のためにやるよりもパワフルで、だからそれが時としてプロを超えることがある」。
そのことは、ずいぶん長い間感じていた。 そもそもインターネットが、通信をプロのものからアマチュアのものへ移したのを、目前に見ていたのだった。つまりNTTやATTから大学やプロバイダへ。そこで見たものは、とてつもないアマチュアのパワーだった。授業で時々議論になるのだが、インターネットの技術は学部の授業でカバーできる。電話の仕組みは、原理は触れることができるがこまかい制御の仕組みはおそらく説明できまい。情報が公開されていない部分があるし、素人が手が出せない仕組みになっている。さらに用語が閉じたコミュニティ用にできている。たぶんものづくりの世界も、似たような(同じでないにせよ)変化をするのかもしれない。
さて、インターネットの歴史を見ると、ロングテール時代の次に来るものは何だろうか。オープンに起因するさまざまな問題、特にセキュリティ問題がが見えてきた。いろいろな部分を、管理上クローズにする必要が出てきたし、場合によっては技術内容すら教えないようなクローズにするケースも出てきたように思う。 そうでなくても、ネットの仕組は、最小は非常に単純で素人にもすぐ分かるものだっがた、だんだん複雑になってきている。いろいろなことを勉強しなければならない。 それを学んだ技術者を差別化する(できる)ようになってきている。
MAKERムーブメントも、設計の技術、たとえば強度とか入り組んだ構造のものづくりとかは、おそらく専門家の知識やスキルに属するものになっていくのだろう。 CADソフトがこの辺を100%カバーするかどうか、今はよく分からない。たとえば、素人が「こんな車が欲しい」と言ったら3Dプリンターで部品を作って組み立てられるようになるのか?
プログラミングの自動化技術は、プログラマの職を守るためにも、あまり発展させてはならない、という議論(不文律か?)がある。ものの設計の部分も、そうかも知れないなと思う。