軽減税率は「民意のバイアス」が生じる典型例 国会の参考人質疑の中で考えたこと(下)

日経ビジネス 軽減税率は「民意のバイアス」が生じる典型例 国会の参考人質疑の中で考えたこと(下)。 面白いことを言っておられると思いました。 敢えて、本質的な部分をかなり長く引用してしまいます。

 「しばしば世論調査で人々の考えを聞き、民意に従うべきだという議論が出ます。しかし、民意には民意のバイアスというものがあると思います。それは、『短期的な視点で物事を判断してしまう』ことや『自分の身の回りのことを中心に物事を判断してしまう』というバイアスです。
 しかし、短期的なマイナスを避けようとして、長期的にかえって大きなマイナスを抱え込むということはよくあります。また、身の回りのマイナスを避けようとして、回り回ってかえって大きなマイナスが身に及んでくるということもよくあることです。
 こうした民意のバイアスを避ける仕組みが『間接民主主義』だと私は思います。従って、国会議員の方々は、自らの判断で長期的に国民のためになる政策を考えていただき、もしそれが民意に反するものである場合は、(民意に従って自らの考えを修正するのではなく)民意の方を説得していただきたいと思います」

なるほど。 最後の段落の「間接民主主義」の効用は、利害得失さまざまな議論があるだろうが、その前の2つの段落の議論は、かなり賛成が得られるのではないか。 民意に迎合する(良くも悪くも、であるが)ことによって、長期的に大切なことを見失う可能性は否めない。 だからといって、間接民主主義にしても立憲君主制にしても、民意を離れて何かを始めるとすればそれはそれで問題かもしれない。 大衆が何を言うかを左右する「民度」のような因子も含めて、難しい問題である。 ヒットラーを選んだのも民衆 (いろいろとあるだろうが、とにかく選挙で選ばれたのだそうな) なのである。