TechCrunch Japan: カリフォルニアの大学はオンラインコースを積極的に拡大, 学生の成績も向上 ~ さて、我々はどうしよう?

TechCrunch Japan: カリフォルニアの大学はオンラインコースを積極的に拡大, 学生の成績も向上.

今までの『オンラインコース』への取り組みは、スタンフォードなどの場合は講義(=智恵)をシリコンバレーの企業へ配信する(昔は有線TVだった)、その後のMITあたりのオープンコースウェアは知を世の中に残すことだった。 他方、一般のオンライン教育は、たとえば企業の安全研修などに使われることが多くて、単なる表層的な知識やハウツーを伝達する手段として有効と思われてきた。 それが何と、大学の教育を置き換えるものになったと言うではないか。

そういえば、放送大学や放送学園高校のようなものがあった。 スクーリングとうまく組み合わせて、うまく教育をしていたわけだ。 またE-ラーニングの枠組みでは、一方的な(ビデオ)講義に、課題を組合せ、さらにメンターを付けてインタラクティブな教育を補強して、うまく教育をしようとしていた。

われわれも長い間、どうやって知識伝達つまり一方的なビデオ講義と、課題などの学生側での活動とを組み合わせるか、学生側の活動を担保するか、メンターをどう置いたらいいのか、などを議論してきたが、結局は、対面型の授業に勝るものはない、という結論だった。 (ただし、対面型の形を取りながら一方的な講義~ビデオ講義と同じ~を行っていたのでは、学生は付いて来ないのであって、知識伝達の講義に加えて、実習実験演習があり、課題学習があり、ということは必須である。)

でも、この記事で言っていることは、どうも flipped classroom つまり 『delivering instruction online outside of class and moving “homework" into classroom を(大学でも)するのだと言っている。 つまり、オンラインビデオ授業を自宅であらかじめ見ておき、教室では討論や演習をやるということである。このメソッドは最近(米国の?)初等中等教育で喧伝されているように見える。それを大学でもやろうという話らしい。

実は、私も最近少しだけ試みている。記事にあった理由は、どうも授業の費用対効果の問題のように見えるが、私の理由は別のところにある。 学ぶべき内容が、今の時間数に比べて多すぎるのである。 昔の学生に対しては、あとは自分で勉強しておけ、と言えたが、昔ですらやらない学生も多かったろう。 今はまずほとんどやらない。 となると、短い授業時間内で、知識伝達の講義をして、加えて演習・実習・実験をしようとすると、時間が不足する。 演習・実習・実験を追い出すのが普通の先生だと思うが、私は逆もありだと思って、知識の部分の教材をなるべく手厚く用意して(日本の大学の教科書は不親切なものが多いので)予習課題とし、それを前提として授業時間内で問題演習や実習をする方法を試してみている。

最大の問題は、学生がこのパターンに慣れないので、授業で知識伝達の話が聞けるものだと思っていたり、極端には、授業が知識伝達をするものなら教科書を試験直前に読めば済むとして、授業に出なかったり内職をしたりする。 授業運営上、なかなか円滑に行かないのであるが、それでも何回も繰り返してやり方を周知することで、徐々に積極的に参加する学生も増えているように思うのだが、身びいきだろうか。

日本は米国に倣って、誰でも入れる大学を目指してほぼ実現してきているわけで、その結果必ずしも勉強したくて大学にくるとは限らない状況を生み出していることも米国と同じだと思う。それに対して従来の大学教育の方法では効果が薄いので、このようなことを考えたのだろうと想像する。 授業をする身からすると、従来の知識伝達講義のほうが演習・実習・実験よりずっと楽である。 演習・実習が大変である分だけ、出来合いのビデオ講義を利用して楽をしようということになったのだろうか。

教育

Posted by yamanouc